現在、私が携わっているのは、当社で手がける家のスペックや仕様などの検討と、設計士が担当する各案件の進捗管理が中心で、自社商品の企画立案・開発や住宅の設計業務なども行っています。私が設計した案件はもちろん、開発に関わった商品が、何百・何千といった建築現場で導入されることで、より良い家づくりに貢献できていると実感しています。
泉北ホーム株式会社は、自社一貫施工により家づくりをサポートするハウスメーカーで、私が所属する設計部では、受注した注文住宅などの設計を担当。当社の「自分が住む」という目線、つまり「お客様目線」というモットーのもと、私もその一員として、営業をはじめ、ショールームスタッフ、現場監督など、社内の各部門と連携し、お客様にとって快適で住みやすく、安全な家づくりに徹しています。

入社当初は、「とにかく良い家をつくろう！」と、製図にひたすら打ち込んでいました。いま振り返ると、「設計がしたい」という想いが強すぎるがゆえに、お客様が本当の意味で求められているものまでは、くみ取りきれずにいたかもしれません。ですが、一人ひとりのお客様に真剣に向き合い、経験を重ねていくにつれて、お客様の目線に立った物事の考え方が徐々にできるようになりました。また、「さらにステップアップするためには？」と自問自答しながら明確な目標を立て、達成するためにはどうすればいいかと考え、実践していくことで、常に自分を高められるように努めています。
私たちがつくるのは、単なる家ではなく、豊かな暮らしを育めるような場所です。ご家族が「ただいま」「おかえり」と言葉を交わしたとき、みんなで食卓を囲んでいるときなど、ふとした瞬間にほっと安心できる家を提供したいと考えています。暮らしの価値観や住宅デザインなどは十人十色。ですが、10年、20年後と先を見据えたとき、誰もが安心して毎日を過ごすために、耐震・断熱・防犯などの基本性能も、家づくりには大切だと思います。だからこそ、私たち設計士は、お客様の好みを知る前に、まず基本性能の必要性を体感していただけるように説明しています。また、お客様からのご要望をそのまま採用するのではなく、その言葉から本当に求められているものを読み取る力が求められます。たとえば、「棚を置きたい」というご要望が出た際に、そのまま設計するのではなく、どうして棚を置きたいのか、何を置きたいのかなど、くわしくお話を聞いて、動機や目的を理解する。そうすることで、より良い方法や手段を提案できるようにしています。設計士の役割は、「住宅を設計する」ことを通して、「暮らしを提案する」こと。そんな仕事の難しさに大変だと感じるときもありますが、それ以上にお客様に喜んでいただけたときの達成感はひとしおです。