倉方:それでは最後になります。この大阪府立中之島図書館は1904年に建てられ、1922年に左右の建物を増築し、現在の姿になっています。こちらは内装について説明します。この空間、すごく立派ですよね。みなさんは、どんなことを感じますか?

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寺田:ハリー・ポッターの世界みたいですね。

倉方:そうそう!とても良い感想です。ハリー・ポッターってイギリスが舞台の作品で、この図書館もイギリスの建築様式を取り入れています。ここで歴史の話をすると、日本人はイギリスから建築を学びました。なので、どちらかと言えばフランスやイタリアよりも、日本の建築物はイギリスに近いんですよ。

寺田:階段や柱に木を使ったり、まさにそうですよね。

倉方:その通りです。大阪府立中之島図書館の内装は木目の味わいを上手に生かしていて、これはイギリスの建築に由来するものです。

小林:階段の手すりがすごいですね。どうやって曲げているんだろう。つなぎ合わせているとか?

倉方:実はその手すりは、一本の木から切り出しているんですよ。

二宮:その技術もすごいですね!

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倉方:本当に素晴らしいですよ~。設計もまたすごく考えられていて、一階から手すりがぐ~っと上に流れて、天井まで視線が行くようになっているんです。

寺田:こういった縦に長い空間って日本の伝統的な建築には、あまり見られない設計ですよね?

倉方:その通りです。それだけに西洋の雰囲気を出すのは決して簡単ではありません。明治の人々がすごく熱心に勉強したことが分かります。他にも、ほら、階段の上にある像も素晴らしいですよ。

二宮:像を設置することを想定して設計されていますよね。

倉方:そうです。設計段階から彫刻とコラボレーションしています。ちなみに、あの像は何を表現しているかわかりますか?

小林:孔子…、え〜っと、それから、ダーウィンって書いてありますね。

倉方:他には、菅原道真やソクラテス、カントなどもあります。つまり、古今東西の学者が見守る「知の殿堂」だということを表しています。この図書館についても、これまで見学してきた建物や構造物と同じで、やはり、大阪を代表する図書館として「中途半端なものはつくれない」と、あらゆる面から趣向を凝らしているんですね。

寺田:この設計を見て改めて思いましたが、やはり、建築の世界ってすごいですよね。平面の図面から、こんなに素晴らしい空間をつくるんですから。

倉方:本当に。図面から立体的な空間を想像するのは、決して簡単なことではありませんからね。しかも、今からずっと前にこんなに立派なものをつくったんですから、本当に素晴らしい。

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寺田:私は幼いころから、不動産のチラシに書いてある間取り図を見るのが好きで、そこから建築やインテリアに興味を持ちました。将来は、建築士になりたいと思っていますが、自分にできるか不安になることがあります。でも、この図書館のようなすごい空間だって、人々が研究を重ねてつくったんだと考えると、やっぱり一生懸命に努力することが大切だと感じました。がんばれば、私もすごいものをつくれるんだと信じて、どんどん挑戦していきたいです。

倉方:はい!一生懸命にやれば、絶対にできますよ!

小林:みんなでがんばっていこう!チャレンジし続けていれば、必ずできる!

大阪府立中之島図書館

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明治37年(1904年)に開館した図書館で、石造の重厚な姿が目を引く。また、ドーム状の中央ホールも美しく格調高い。近年では図書館としてだけでなくカフェも併設し、お年寄りから若者まで幅広い年齢層に親しまれている。

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明治37年(1904年)に開館した図書館で、石造の重厚な姿が目を引く。また、ドーム状の中央ホールも美しく格調高い。近年では図書館としてだけでなくカフェも併設し、お年寄りから若者まで幅広い年齢層に親しまれている。

協力:大阪府立中之島図書館
指定管理者:(株)アスウェル

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