2008年ガーデンデザイン学科卒業。地元の三田・大阪や神戸を中心に、個人宅の庭の植栽管理や外構工事、公園や街路の植栽管理や改修工事、小規模土木など幅広く手がけている。
造園の分野は工種が幅広くたくさん知識と技術を学ばないといけません。特に建設業の中で唯一生きている材料を扱うので、その管理まで必要なのが難しくもあり、飽きない仕事だと感じながら毎日楽しく仕事をしています。
また個人宅のガーデンデザインはお客さま自身も詳しい方が多く、とても緊張感があります。たとえば、バラに凝っているお客さまのお庭に知ったかぶりをして手入れをしても、100%の満足はしていただけないでしょう。自分の知識が足りていない点を日々しっかり勉強し、常に120%の満足感を提供できるようにと考えて現場に臨んでいます。
この現場のお庭は7年ほど前から畑を徐々にリフォーム工事していったもので、社長や職人達とお客さまの要望に合わせながらデザインしていきました。年間管理もさせてもらい、今では日本庭園、果樹園、ロックガーデン、芝生広場などがありお客さまにも大変満足していただいています。
幅広くバランスよく造園について学んだことを大いに発揮。
もともと父が造園業を営んでおり、高校生のときに日本庭園の石積みを手伝ったことがきっかけで造園に興味をもちました。それまでも小さいころから父の働く背中を見ていましたし、ものをつくることも好きだったので、漠然と建設分野の仕事をしたいと思っていました。高校卒業後、一度大学に入り、造形芸術やランドスケープデザインなどを学んでいたのですが、学んでいくうちに「このデザインは構造的に実現可能なのだろうか?」という疑問がわいてきました。自分はデザインよりも構造物についてしっかり学びたいのだと気づき、大学を2年で中退して修成に入学。修成では構造物も含めた造園業全体について、幅広く、バランスよく学べましたし、現場を経験した先生が教えてくださるのが魅力的でした。ガーデンのデザインや手入れのしかたを学べる学校はありますが、造園業を実践的に学べる学校は、本当に貴重だと思います。実際に社会人として現場に出てみて、未だに「あの授業はこういうことだったのか」と気づくことも多々あります。少しであっても学生時代に一度触れていることは、知識や技術が身についていくスピードが速いですね。修成で一緒に学んでいた仲間とは、仕事上でもつながりが続いており、大きな現場になると応援に来てもらうこともあります。また、同じ現場にいる別の会社に修成の先輩がいて、そのつながりで次の仕事が生まれたこともありました。修成の卒業生という共通項で親近感が生まれ、横のつながりが増えていくことがうれしいですね。 多くの人に、緑や庭に関心をもってもらうきっかけをつくりたい。
僕はこの会社に入る前に別の会社で修業していたのですが、その頃から、雇われている身であったとしても、自分が社長だったらどうするか、自分の会社を良くしていくためにどうするかを常に考えることを心がけています。そこで僕は、職人なら作業はできて当たり前で、そこにコミュニケーションのうまさや愛想のよさが必要だと考えるようになりました。たとえば職人が5人いる現場で、親方だけがお客さまとやりとりして、あとの職人はあいさつもなしに黙々と作業をしている…そういった光景は、この世界では残念ながらまだまだあります。でもそれではもったいない。職人がそれぞれお客さまとコミュニケーションできれば、お客さまの満足度を上げるのはもちろん、職人自身も自分の幅を広げることにもなりますし、ひいてはそれが会社のためになり、また自分の待遇も変わるという好循環につながります。現場に出ていて思うのは、良い会社ほど現場の職人までお客さまにしっかり対応できる人が多いということ。これから業界で生き残っていくためには、昔ながらの職人気質を変えていかなければと痛感します。僕たちも時代の流れを取り入れて、造園のことを知らない人にも緑や庭があることで街や家が引き立つことを知ってもらうために、もっと職人の力を引き出していきたいです。 高いコミュニケーション力があれば、職人はもっと活躍できる。
この仕事の魅力は、なんといっても季節を体で感じられることです。もちろん、暑い、寒いという点は厳しいところでもあるのですが(笑)、四季のある国の美しさを実感できますね。例えば、街ではハロウィンだクリスマスだと季節を先取りしたディスプレイがされますが、現場では今年は紅葉が少し早いなとか、リアルな季節感を楽しめるのが醍醐味だと思います。都会はたくさんのビルとコンクリートに囲まれていて、そこには見えないストレスが潜んでいます。そんな中で、街路樹や公園、あるいは一つのプランターから癒しを感じた経験がある方もいるのではないでしょうか。少し緑があるだけで、街も家もよくなる。1%でも街に緑が増えてほしいというのが僕の願いです。現在、木は減っていく傾向にありますが、地球温暖化対策という大きな観点だけでなく、人々の心の癒しという身近な観点からも、緑の必要性は多くの人が感じています。近年、都市部では屋上や壁面の緑化が積極的に行われ始めていますし、緑に関わることはいつの時代も何らかの形で常に注目される分野です。今後は人々の癒しの場を提供していくことで、活躍の場を広げていきたいと思います。
芝生広場は人をたくさん呼んで催し物も。
オリジナルパーゴラとロックガーデン、ガーデンハウスなど庭全体を眺めながらティータイム。
表の通路は四季折々の花が色付く。
メインの日本庭園は毎月しっかり手入れを施す。
果樹園はブルーベリー、フェイジョア、ウメ、柑橘類などを食べて楽しめる。
フジ棚の木漏れ日が一番の癒しの場所。