Creator's File 大林道路株式会社 阪上 淳一の仕事

阪上 淳一
大林道路株式会社 阪上 淳一 Jyunichi Sakajo

1998年土木工学科卒業後、土木業界大手の大林道路株式会社へ入社。土木施工管理技士として、関西を中心に数々の道路工事や造成工事に従事。現在、新名神高速道路に設置される茨木北インターチェンジ(仮称)の建設に携わっている。

土木の世界で日々、やりがいを求めて。

土木の業界に進んだのは、建設関係の仕事をしていた父や親戚の影響が大きいです。リビングに施工図が転がっているような家庭でしたので、自然とものづくりに興味を持つようになり、小学校の文集で書いた将来の夢は建築士でした。ただ、「建築士」と書きましたが、建設関係の仕事をする人はみんな建築士だと勘違いしていただけなんですよ(笑)。でも、とにかく、この業界で仕事をすることへの決意は固まっていました。
建築や造園など建設業界にはさまざまな分野がある中で、「土木」を選んだ理由としては、他の分野に比べてよりスケールの大きいものをつくれることに魅力を感じたからです。ありがたいことに入社以来、学生時代に思い描いていたようなビッグプロジェクトに携わらせてもらうことが多く、現在、建設に関わっている新名神高速道路は全線開通すると、三重の四日市から神戸に至る約174㎞を結ぶ大動脈になります。もちろん、私が関わっているのはその一部分ではありますが、やはり大規模な工事は燃えますね。それにつくるものが大きい分、できあがった時の達成感も大きくて、その感動は言葉になりません。毎回竣工するたびにやりがいを噛みしめています。 つくるものがデカいですからね。達成感もデカいですよ。


壮大なプロジェクトに胸が高鳴った新人時代。

入社後にはじめて携わった現場は、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の造成工事です。「造成工事」とは、かんたんに言うと建物や道路、駐車場などを建設できるように土地を整備することで、この工事では約39 もの造成に関わりました。見渡す限りの荒野の上でたくさんの人が汗を流し、見たことのない巨大な重機や重ダンプ、大型クレーンが動き回る光景には圧倒されました。新人だったこともあり、それほど重要な仕事を任されていたわけではありませんでしたが、日本中が注目する一大プロジェクトに携われていることがうれしくて、毎日ただただワクワクしていましたね。入社1年目でこんなに魅力的な現場に出させてもらえたことは、本当にラッキーでした。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンには、今でも年に一度は必ず家族で遊びに行っていて、毎回、「ユニバはお父さんがつくってんで」と子どもたちに自慢しています(笑)。それに、自分が関わった場所でたくさんの人々が楽しんでいる光景を見ると本当にうれしい気持ちになります。これも、この業界ならではの魅力で、テーマパークに限らず、道路やトンネルなどを竣工後に訪れた際、人や車が行き来しているのを目にするとやりがいを感じます。大変な工事だったけど、ちゃんと街の一部として機能しているんだなぁ、としみじみ(笑)。自分のつくったものが、社会に役立っている様子がここまでダイレクトにわかる仕事はなかなかありませんよね。


一つひとつを確実にクリア。妥協のないものを生み出す。

私が日々仕事をする中で大切にしていることは、「誰にも負けない質の高いものをつくること」です。例えば、質の高い道路は通ったときは揺れが少なく、一方で質の低い道路はガタガタと走りにくい。見た目にはそれほどわかりませんが、実際に通ってみるとその違いがはっきりと出ます。負けず嫌いな性格なので、車で走っているとついつい考えちゃうんですよ。この道路には勝っているな、この道路は悔しいけど上手いな、とかね(笑)。もちろん、私は施工管理技士なので、職人さんのように直接自分の手でものをつくるわけではありませんが、より良いものをつくるために、施工図の作成、職人さんへの指示、工期と予算、安全面の管理など、求められる業務を完璧にこなすよう努めています。自分の不手際で工事を中断させてしまったり、工期が押してしまい突貫工事になるようでは、絶対に良いものなんて完成しませんからね。偉そうなことを言うようですが、つくるもののクオリティは施工管理技士の裁量に委ねられていると思っています。この仕事にはそのぐらいの気概が必要ですね(笑)。現場を指揮する監督者として責任を持ち、あらゆることに目を配りながら、一つひとつの業務を確実にクリアしていく。それが、私の「仕事」でもあり、誰にも負けないものを生み出すためのミッションではないでしょうか。
今、中堅と呼ばれるキャリアになり、こうして自信を持って仕事ができていますが、若手の頃は、上司や先輩、ときには職人さんからもよく叱られていました。もちろん、落ち込むこともありましたが、決してめげたりはしませんでしたね。なにかひとつミスをするたびに、「こうしてダメだったから、次はこうしよう」と、同じことを二度と繰り返さないように常々心がけていました。失敗から学ぶことは本当に多いです。今年で業界18年目、思えば、数えきれないほど失敗をしてきましたが、そのたびに前へ進めた気がします。今でも毎日、若手時代の経験を振り返りながら、真摯に現場と向き合っています。 失敗の数だけ、良い仕事ができるようになるんです。


人材不足は絶好のチャンス。臆することなく挑んで欲しい。

土木の仕事は、道路や橋、トンネル、電気やガス、上下水道など、人々の暮らしに欠かせないものづくりを担っているため、社会から必要とされ続けることでしょう。さらに、東京オリンピックの開催に伴う建設ラッシュにより、今後ますますの需要が見込まれています。しかしそれにも関わらず、この業界は深刻な若手不足に直面していて、現場を見渡すと40代から60代のベテランが目立ち、20代30代の人は少数派。人材確保に関しては、なかなか厳しい状況が続いていますが、「売り手市場」であることは若い人たちにとっては大きなチャンス。業界は今、若い力を求めていますから、新人の頃からガンガン現場に出て、国を挙げて取り組むような大規模なプロジェクトや面白い仕事に関わっていける環境があります。今なら、オリンピック関係の仕事もゴロゴロしていますしね。世界中の人が集まるスタジアムや選手村など、言葉にするだけで楽しくなるような仕事にたくさん関われます。土木の世界に興味がある若い人たちには、このチャンスに果敢に挑戦してものづくりの魅力を実感しながら、これからの業界を担う人材に育って欲しいと思います。

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