感染拡大防止策など今までに経験のない対応が必要となった一方で、コロナ禍がテレワークやリモート会議の導入など、働き方改革につながる機会になったととらえています。
2004年に修成建設専門学校土木工学科を卒業し、橋梁・構造物の補修を手がける中井商工株式会社に入社。全国各地の橋梁の伸縮装置に対して自社の止水材を提供するための設計業務をメインに、さまざまな工事の設計や現場監督なども経験。現在は設計業務だけでなく設計部全体のマネジメントも担い、部署全体の案件の管理や若手人材の育成、誰もが長く働ける職場環境の整備にも精力的に取り組んでいる。1級土木施工管理技士。
橋が美しくなる様子、地域の方からの感謝が大きな喜び。
私が勤めている中井商工株式会社は、橋梁・構造物の総合メンテナンス会社です。中でも橋梁の継手部分にある伸縮装置の止水を得意としており、伸縮装置内の雨水が桁に漏れ出して橋が腐食するのを防ぐための商品や技術を提供しています。若手の頃は、耐震工事の設計や、橋のジョイント部分の取り替え工事の現場代理人を務めるなど、幅広い仕事に挑戦して経験を積みました。そこで設計の大幅な変更を求められたり、職人さんに適切な指示ができず怒られたりと、壁にぶち当たることもしばしば。それでも、失敗の一つひとつを成長の糧にしてきました。
その後、自社の止水材を橋梁の伸縮装置内に入れるための図面作成を主に担当するようになりました。次々と案件が寄せられる中、心がけていたのは効率的な最小限の作業で最大の成果を出すこと。とはいえ、図面の段階でお客様の許可が得られなかったり、現場での図面修正を余儀なくされたりと、さまざまな困難があります。それらを乗り越え、全工程を終えた時には格別の達成感がありますね。自分の考えた設計で、傷んでいた橋梁が新品同然に生まれ変わる様子を見られるのに加え、橋梁は公共物のため、地域の人から感謝の言葉をいただくことがあるのも大きなやりがいです。
修成での経験も就職後大いに生かされました。土木業界で現役で活躍している外部講師が現場での体験談を交え、注意すべき作業や、役立つ計算式や資格について的確にアドバイスしてくれたことが印象に残っています。プロと学生では求められるレベルに大きな差がありますが、根幹となる知識や技術は同じ。修成での学びが私の社会人生活の土台となっていることは間違いありません。また、修成はこうした卒業生への取材を通じて卒業後のことまで伝えてくれるので、学生のみなさんの就職への不安も和らぐのではないでしょうか。
管理職として、若手の育成や、やりがいある職場づくりを進めたい。
現在も、自社製品である乾式止水材を既存の橋梁の伸縮装置に設置する調査と図面作成に携わっているほか、最近は桁を補修するための当て板補修の調査設計も行いました。さらに、管理職として設計部の管理も任されており、自分の案件を持ちながら、課員の調査設計のスケジュール管理と育成も行っています。一課員だった頃は目の前の仕事をこなすことを考えていましたが、管理職となった今は、会社の方針に沿って部署の将来を描き、それに向かってどうするべきかを考えたり、課員の成長や、一人ひとりが長く働き続けるためにできることなど、考えることが増えました。そういったマネジメント業務にも大きなやりがいを感じています。例えば、仕事を部署全体で期限内に終わらせる進め方や、その中でできるだけ課員が負担なく取り組める方法を考え、その通りに進んだときはうれしいですね。
近年、建設業界でも働き方改革が進んでおり、これまでの「3K」のイメージを改善していこうという動きがあります。その中の一つとして、業務効率化のためのAIやドローンの採用などを耳にすることも増えてきました。当社でも、まだ数は少ないもののドローンを使用した調査提案などがあるため、今後はいっそうIT技術の導入が加速していくのだろうと感じます。それと同時に、働く私たちには、より柔軟な思考が求められることになるでしょう。
私自身の今の目標は、自社製品の調査作図だけでなく、部署全体でさまざまな補修工事の調査作図が行えるよう、若い世代を一人前に育て上げ、なんでもできる集団にしていくこと。そして、現在いる課員が長く働きたいと思えるようなやりがいのある職場づくりを進め、誰から見ても良い職場だと認められるようにしたいです。そして、より人が集まるような活気ある組織をつくり上げていきたいですね。
- 【伸縮装置取替】
- 老朽化した伸縮装置を新たに取り替える工事において、伸縮装置及び止水機能の調査・図面作成を担当。旧伸縮装置には止水機能がなく、橋面下の主構造部にも悪影響となるため、自社製品にて止水機能を持たせた新伸縮装置へと取り替えを行った。
- 【ケーブル緩衝材充填】
- 斜張橋のケーブル定着部に緩衝材の充填を行う施工を担当。緩衝材の充填は、ケーブルが風等の振動によって定着管に接触して損傷したり、ケーブルが劣化したりするのを防ぎ、ケーブルの振動を抑制する機能がある。また、定着部への雨水等の侵入防止と美観のためにカバーを設置した。