株式会社森本庭園 川端 晴江の仕事

構造物を引き立てる植物の力を、より多くの人に知ってほしい。

修成を卒業し、大手ハウスメーカーグループの建設会社で3年間外構工事の施工管理を務めた後、現在の(株)森本庭園に入社しました。前職で培った外構工事のノウハウを生かしつつ、個人邸の剪定作業や外構工事、植栽工事を手がけるほか、公共緑化工事や公共維持管理、店舗・マンション管理、土木工事など幅広い仕事に携わっています。
この現場のマンションも年に3回の定期的な管理を依頼されており、高木・低木の剪定や除草作業などを行なっています。マンションの植栽は家の中から家族で楽しむ個人邸とは異なり、様々な人が目にするものなので景観を重視して管理しています。
これまでの仕事で最も印象に残っているのは、神戸の個人邸での外構工事。それまでは先輩の設計した現場で作業をすることがほとんどでしたが、初めて自分の設計で施工しました。ご要望は、昔ながらの石積みの壁をリフォームし、電動のオーバーゲートを含めた外構工事でした。

新築とは異なり、リフォームは既存の構造物との関係が難しいです。図面通りにならず現場でその都度対応するところも多かったのですが、一緒に取り組んでくれたメンバーのお陰でご満足いただけるものを作り上げることができ、大きな達成感がありました。
造園の仕事の楽しさは、こうした外構工事で構造物を創り上げられる事と、やはり”生きもの“を扱うところ。学生時代の授業でたくさんの街路樹や庭木を見て、「これは何という木だろう?」と観察していた癖が残っていて、今でも見たことの無い木や花に出会うと、まじまじと見入ってしまいます。植物は手を抜けば枯れ、手をかけるほど成長して応えてくれるものです。そして構造物をより引き立ててくれる力があります。そのため、私達は外構工事で構造物をつくる際にも植物の力でお客様を笑顔にしたい!と思いを込め必ず緑を提案することにしています。

その他にも造園の仕事の中で剪定作業が私は好きです。剪定するに当たり、私が大切にしている事は”3つ“あり、それは【生育・共存・アート】です。”生育“とは、切った木が次年も元気である事。”共存“とは私達が生活する空間に合った形や大きさに整える事。”アート“とは上記の2つを踏まえてその木がいかに美しく、綺麗に見えるか考え鋏(はさみ)を入れます。剪定は十人十色で地方や人により切り方は様々で異なります。その中で私が大切にしているこの3つを常に心に置いて木と向き合っています。
学生時代での思い出といえば、オープンキャンパスのスタッフを務めた事です。参加してくれた高校生に造園の魅力を1つでも知って欲しくて、わかりやすく緊張をほぐせるような話し方を工夫していました。この点は、現在もお客様の理想や要望をいかに引き出すかというところに生かせています。そして何より修成で学んで良かったと思うのは、先生や同級生、先輩・後輩との繋がりが非常に強い点です。社内にも修成の先輩・後輩が多いのに加え、他社の先輩・後輩から仕事を受注したり、忙しい時には手伝って頂いたりと、修成の卒業生の輪のおかげでどんどん仕事が広がっています。

“業界に広がる強固な修成の輪が、心強い支えに。

また、ここ数年は修成の先生からの依頼で授業を行い、学生に向けて仕事内容をお話しする機会もありました。それをきっかけに学生と交流し、やりたい仕事をきいてオススメの会社をアドバイスしたことも。今後も後輩たちが希望を叶えて活躍できるように力を貸したいと、当社の卒業生みんなで後押ししていきたいです。社会人となりこの業界に入って7年、日に日に私は”造園“という仕事がますます大好きになっています。何より当社は、社員の心身を気遣うなど、物心両面で”社員の幸せ“を第一に考えてくれる会社です。職人というと上下関係が厳しいイメージを持つ方もおられるかもしれませんが、後輩の意見もきちんと聞き、良ければ取り入れ、年下の現場の監督にも従ってくれます。

若手の知識や意見が勉強になると言ってくださる先輩もいて、全員が学び合う雰囲気が好きですし、これからも会社が良くなるように皆で協力して頑張りたいと思います。こうして自社から少しずつでも、中小企業がより良く変わっていき、もっと世の中に”造園“の魅力を発信できるようになりたいです。
今は会社に工事や剪定の依頼がありますが今後は自分の顧客様、仕事、協力業者さんのつながりが取れるようになりたいです。そういった経営者目線で仕事に取り組む一方で植物の力でたくさんの人を笑顔にしていくのも大きな目標です。
その為にもまずは今現在、人間として未熟な面を磨き「人として賢くある」という前提の目標も同時にめざしたいです。特に”自分は知っている“といった態度ではなく全ての事に興味を持つ探究心を胸に置いて、自分の引き出しの数をさらに増やしていきたいです。また”楽しく笑顔“がモットーなので、人が嫌がる仕事も前向きに取り組み、現在自分が仕事の出来る環境・人・経験、全ての事に感謝し”造園“という仕事がこれから先もっと多くの人の目に留まるよう取り組みます。
このインタビューのお話をいただいて自分自身や造園のことを深く考える機会になりましたが、改めて私が携わっている造園の仕事は、奥が深く好きな事を突き詰める楽しさが無限にあると思いました。今、この業界に興味を持っている学生の皆さん、全ての方々に”造園“という唯一無二の世界を修成から体感して欲しいです。

Works 01 大阪市北区タワーマンション

大阪の都心にそびえる高層マンション。入居者の心地良さはもちろん、都市景観として周囲を行き交う人々への配慮も求められる。落葉樹と常緑樹を組み合わせて高木・低木・植栽を配置し、都市と緑の調和をめざした。

Works 02 三田市 個人邸外構

地元にあるプライベートサロン“LINK”にドライガーデンを施工。沖縄から琉球ブロックを取り寄せ白く塗装し、ドライガーデンには必須の景石にもこだわり完成させた。夜は昼間とは全く異なる植物の表情も魅力的。

Works 03 加古川市 個人邸外構工事

“不思議の国のアリス”をコンセプトにして欲しいという依頼に、当社・修成の先輩である森本氏が設計し2人で造り上げた。特殊加工が大変だったが、唯一無二となる壁が完成。依頼主の喜ぶ姿を見て大きな充実感を味わえた工事となった。

Profile 株式会社森本庭園 
川端 晴江
 造園技能士

2014年、修成建設専門学校ガーデンデザイン学科卒業後、大手ハウスメーカーグループの建設会社へ。3年間外構工事の現場監督として経験を積んだ後、2017年に株式会社森本庭園に入社。以来、個人邸の剪定作業や新築・リフォームの外構工事・植栽工事、マンション管理、土木工事など多岐にわたる業務に従事し、現在は設計も手がける。

  • 影響を受けた建造物

    原点は実家の庭です。たくさんの木々を長く管理してくれていた方が高齢となり、受け継ぐ人がいない状況でした。私も植物が好きだったので、きちんと知識をつけて実家の庭をきれいに保ちたいと考え、造園業界を志しました。

  • 仕事への心構え

    会社員の立場ですが、「自分の会社だ」という経営者目線で取り組むことを心がけています。個人の意見を尊重し、何でも挑戦させてくれる会社なので、頑張れば会社に利益が出てみんなが潤うという思いが原動力になっています。

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