グランプリ・準グランプリ結果発表
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指導教員からの講評
見邨 佳朗
人は様々なストレスを抱えているが、特に都会に暮らす人たちのそれを緩和するには、日常とは異なる時空が必要である。この建築はLewin(1951)
の場理論や千野(1991)のリミットサイクル理論等、人の心理学的動線を幾何学的にとらえた先行研究を基に、「緑の遊環構造」として循環機能、回遊性があること、またその循環は一様ではなく視線や形に変化を持たせ、光や風のショートカットなどを取り込んだ。限られた時間の中で、国際コンペへの参加と卒業設計を同時に成し遂げた夜間学生である作者たちに賛辞を贈りたい。
審査員の方の講評
株式会社コンパス建築工房
西濱 浩次
「ストレスフリーの住環境」
現代生活でのストレスを軽減させる住環境を、地上エリアと地下エリアに分けて提案しています。
地上エリアは居住空間とし、緑豊かな中庭を中心に空間構成し、さらにスパイラル状に連結する居住ユニットの屋上を緑化して散策できるなど、自然豊かな環境を提案しています。一方、地下エリアはトップライトで覆って自然を遮断し、環境を人工的に制御することにより、年間を通して快適な自然環境を享受しようというものです。
実際には、高層建築の建ち並ぶ都心で低ボリュームの計画は現実的ではなく、自然環境をあえてトップライトで遮断し、工事費や排水、ゲリラ豪雨などのリスクが高い地下で、自然をコントロールすることにも無理があります。
ただ、雨水利用や地熱、免震構造、ドライガーデン、地下駐車場など様々な提案に、果敢に取り組む姿勢は評価に値します。卒業設計として模型やCGまでを圧倒的なボリュームで様々な考え方を模索し、チャレンジした学生生活の集大成としての力作と言えます。
the Loop ~Biophilic architectural design~ 卒業展2023 グランプリ・SDGs賞
公森 大昌、武田 謙二 建築学科
都会の暮らしに“自然”は足りているか?人は“自然”に暮らせているだろうか?
「“自然“と繋がることで人間のストレスを緩和する」その点を考え抜いた建築を作りたかった。地上エリアは受動的な自然を享受する場、地下エリアは能動的に自然を享受する場である。
地上部中庭からの景観はどの角度からも緑視率30%以上に設定、緩やかなスキップフロアで構成された居住ユニットを自然の風が通ってゆく。
地下エリアでは天候や気候に左右されずに人々が活動する。外部に繋がる共用棟と集会所を設置する事で地域を巻き込だ大きな環境を造り出す。
自然・人・地域がこの建築を介して循環する。そんな想いを込めて「ループ」と名付けた。
【指導教員からの講評】
人は様々なストレスを抱えているが、特に都会に暮らす人たちのそれを緩和するには、日常とは異なる時空が必要である。この建築はLewin(1951) の場理論や千野(1991)のリミットサイクル理論等、人の心理学的動線を幾何学的にとらえた先行研究を基に、「緑の遊環構造」として循環機能、回遊性があること、またその循環は一様ではなく視線や形に変化を持たせ、光や風のショートカットなどを取り込んだ。限られた時間の中で、国際コンペへの参加と卒業設計を同時に成し遂げた夜間学生である作者たちに賛辞を贈りたい。 <見邨 佳朗>
農業は人と密接に繋がりをもっている。生活の糧である食料の生産は勿論のこと、種まきや収穫など祭りと結びつけて人と人の関係を繋ぐものとしても存在している。
しかし、日本の農業の現実を見てみると生産者の高齢化や農地の減少など様々な問題が多く存在している。
その中で、都市農業という観点に着目してみると今、そして未来へと大きく可能性を秘めていると言える。
都市における農業のあり方とは、誰もが想像する田園風景での農業とは異なり、都市気候、人の生み出す廃棄物、テクノロジーなどを大きく取り込み行われる農業である。
そのような都市農業を建築と組み合わせ、さらに未来への農業の可能性を大きく膨らませる。
農業と建築と人との融合を目指した設計である。
指導教員からの講評
見邨 佳朗
地方への若者回帰を促すことも重要な傍ら、人口が集中している場所でのUrbanFarmingに視点を当てた作品である。科学技術力の活用によりイノベーションを創出し食を発展させるスマート農業と、それらに必要な空間と住空間を融合させた建築を「Agritechture」として人口150万人を超える政令指定都市神戸で提案した。使用水量が従来の1/10という垂直農法を採用すること、自然・人口の両面から光の当て方、通気・換気を良好なものとするデザインにたどり着くまでに要した時間は、妥協しなかった作者の粘り強さを感じた。CLT構造を取り入れた考え方にも未来型融合が活かされている。
審査員の方の講評
一般社団法人大阪府建築士事務所協会
副会長 辻 裕樹
〇 中央コアに面して窓を設ける。
ライトウエルとして上から採光と農業層の横からの採光により、低層部まで光を導こうという、よく考えられた自然採光計画です。
住居層のプランの記載はありませんが、共用廊下側(中央コア側)にも低層部まで採光が確保できるよい計画だと思います。
〇 各層をずらして作られた外部農業空間。
外観的に非常にユニークで斬新な躍動感のあるデザインに成っています。
最初にこの作品を観た時には、DNAの二重螺旋構造のようなデザインの台北の高層芸術住宅「陶朱隠園」を想い起しましたが、デザインコンセプトは全く違うものですね。
〇 円形建築の日陰の特性から北側におよぼす悪影響を抑えられる。
円形建築でも矩形の建物でも、円形の直径と矩形の巾が同じであれば、影の影響は同じであると思います。
しかし、この作品のように各層をずらすことにより、生ずる日陰の境目が曖昧となり、影の影響が軽減されると思われます。
〇 植栽層から取り込まれた風は中央コアの煙突効果により通気性を高め、熱負荷も低減する。
住居層も真逆の2方面開口により換気効率を高める。
高層建築物(27階建て)の高層部における風圧力はものすごく、ベランダ側から風が吹いていて、そちら側の窓を開けた状態で、玄関扉を開けると扉で人が飛ばされるぐらいの風圧力があります。
そのために、如何に風圧力による影響を減衰させるかの検討も必要になると思います。
〇 中央部に設備コアを設け効率性・経済性を高める。
27階建てくらいの高層建物の場合、住戸数や農業空間への給水量(使用水量)にもよりますが、中間層に増圧ポンプや貯水タンクが必要になるかもしれません。
〇 地下に貯蔵された雨水は水耕栽培や植物の育成に使用する。
雨水の中水利用は、水資源の有効利用を図り、下水道や河川への雨水の集中的流失を抑制するので、植物の育成に利用することにより一石二鳥の効果を計画されています。
先にも述べましたが、中間層に増圧ポンプや貯水タンクが必要だと思います。
〇 CLT(直交集成材)純木造建築物(高層ハイブリッド木造建築:木造+RC造)
純木造建築物ではなく高層ハイブリッド建築物として計画されたのですね?
27階建てくらいに成ると、木造+RC造では無く、木造+S(SRC)造の方が良いのではないかと思います。
建築物への木材利用は、CO2を長期間固定することで脱炭素社会の実現に貢献するだけでなく、「使う・植える・育てる」というサーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点からも注目されています。
〇 隣接して、商業施設を設け、「食都神戸」の中心建物として位置づけする。
屋上に菜園を設る。
神戸×農業 EAT LOCAL KOBE 「食都神戸」という、設計コンセプトでしたが、地産地消・農業活性化を目的として、FARMERS MARKET(毎週末)の常設会場としてFARM STANDをこの商業施設に設け、MICRO FARMERS SCHOOLをこの施設の屋上菜園で行い、FARM to FORK (EU FTF戦略)およびフードマイル削減(生産地と消費地を近づけることによるCO2削減)を実践するものとして、この施設が存在するという、素晴らしく、壮大な計画であると感心いたしました。
Agritechture KOBE 卒業展2023 準グランプリ・SDGs賞
川口 大地 建築学科
農業は人と密接に繋がりをもっている。生活の糧である食料の生産は勿論のこと、種まきや収穫など祭りと結びつけて人と人の関係を繋ぐものとしても存在している。
しかし、日本の農業の現実を見てみると生産者の高齢化や農地の減少など様々な問題が多く存在している。
その中で、都市農業という観点に着目してみると今、そして未来へと大きく可能性を秘めていると言える。
都市における農業のあり方とは、誰もが想像する田園風景での農業とは異なり、都市気候、人の生み出す廃棄物、テクノロジーなどを大きく取り込み行われる農業である。そのような都市農業を建築と組み合わせ、さらに未来への農業の可能性を大きく膨らませる。
農業と建築と人との融合を目指した設計である。
【指導教員からの講評】
地方への若者回帰を促すことも重要な傍ら、人口が集中している場所でのUrbanFarmingに視点を当てた作品である。科学技術力の活用によりイノベーションを創出し食を発展させるスマート農業と、それらに必要な空間と住空間を融合させた建築を「Agritechture」として人口150万人を超える政令指定都市神戸で提案した。使用水量が従来の1/10という垂直農法を採用すること、自然・人口の両面から光の当て方、通気・換気を良好なものとするデザインにたどり着くまでに要した時間は、妥協しなかった作者の粘り強さを感じた。CLT構造を取り入れた考え方にも未来型融合が活かされている。 <見邨 佳朗>
卒業制作の課題として取り組んだのは、現実に実現する大野川緑陰道路コミュニティ広場「にこにこランド」施工。西淀川区と修成ガーデンデザイン学科との提携により、これから数年かけて完成させていくということで、その一翼を自分たちも担えることにワクワクしました。積算(費用)と工程表の作成では何回か間違いに気づき、先生方のアドバイスを受けながら完成した時には、やっと授業で教えられてきたことをきちんと理解できたと思いました。模型も今回施工の「にこにこランド」と数年後完成する「コミュニティ広場全体」の2つを作りました。細部までこだわって現地の状況を再現しながら制作したので、多くの時間と労力を費やしましたが納得のいく作品に仕上げることができました。
指導教員からの講評
中安 哲男
にこにこランド計画予定地の現況調査、基本構想、プレゼン資料、施工図、積算、そして施工計画を検討し総合的にまとめた作品になっている。作成過程に於いて疑問点や理解できないところを一つずつ解明、クリアしながらものづくりの流れに沿って作品が進捗する中で職業造園を理解することにより、施工実務を経験できたと思う。作品づくりに対する姿勢、そして何より直向きな努力を評価したい。にこにこランドは現在学生達が施工中であり2023年3月末に完成を目指している。
審査員の方の講評
株式会社田中都市建築事務所
代表取締役 田中 義久
本計画の大野川緑陰道路は、80年代大阪の公害のシンボル的な存在でもあった。それを埋め立てによって暗渠とし、緑陰道として整備されたものである。その後、この緑陰道は市民に親しまれて散歩やジョギングに利用されている。しかし、夏の日差し、冬の寒さ、ストリートファニチャーのすくないことや緑の樹木しかないことなど多少の課題もある。
本計画はそれらの課題に配慮した優秀な計画であると思う。六角形をモチーフとした植込みスツールの配置は、空間の躍動感を感じさせる。鳥瞰的に眺めるとそのリズミカルな配置に心が共振する思いがする。植栽計画として様々な植物の提案があった。そのコンセプトとして「五感で味わう」ことが掲げられている。作者は障がい者も楽しむことのできる植込みを意図しているが、障がいを個性ととらえたらそれはダイバーシティの考えに通ずるであろう。自然の風景は一面でとらえることではなく多面的な視点から表現することこそが本来の味わいであり、そのような仕掛けを内在させることがガーデニングの妙であろう。同時に提出された緻密な模型を眺めていると様々な延伸性を感じた次第である。
本計画は緑陰道に設けられるコミュニティ広場の一部の計画であるが、巨大マンホール周囲をバラなどで視線を隠す提案もあり、それはコミュニティ広場全体として完成させる次年度の提案の可能性につながっており、大いに期待できるところである。
大野川緑陰道路コミュニティ広場 -にこにこランド施工計画- 卒業展2023 準グランプリ
片岡 悟 ガーデンデザイン学科
卒業制作の課題として取り組んだのは、現実に実現する大野川緑陰道路コミュニティ広場「にこにこランド」施工。西淀川区と修成ガーデンデザイン学科との提携により、これから数年かけて完成させていくということで、その一翼を自分たちも担えることにワクワクしました。積算(費用)と工程表の作成では何回か間違いに気づき、先生方のアドバイスを受けながら完成した時には、やっと授業で教えられてきたことをきちんと理解できたと思いました。模型も今回施工の「にこにこランド」と数年後完成する「コミュニティ広場全体」の2つを作りました。細部までこだわって現地の状況を再現しながら制作したので、多くの時間と労力を費やしましたが納得のいく作品に仕上げることができました。
【指導教員からの講評】
にこにこランド計画予定地の現況調査、基本構想、プレゼン資料、施工図、積算、そして施工計画を検討し総合的にまとめた作品になっている。作成過程に於いて疑問点や理解できないところを一つずつ解明、クリアしながらものづくりの流れに沿って作品が進捗する中で職業造園を理解することにより、施工実務を経験できたと思う。作品づくりに対する姿勢、そして何より直向きな努力を評価したい。にこにこランドは現在学生達が施工中であり2023年3月末に完成を目指している。<中安 哲男>
準限界集落を舞台とし林業施設を計画、地域の復興をテーマとした。
建設には周辺で取れる木材を使用するが、一帯は未だ生育途中の山林であり、その多くは間伐材となる。構造材として扱いの難しい間伐材を小径材として製材し、組み合わせる事でその短所を見直した。
製材棟は材木を整形加工する場として。小径材とする事で手間がかかり雇用に繋がると共に、女性や高齢者も従事し易くなる。そこでは伝統技術の伝承が行われ、端材は家具や土産物等に加工、隣接の展示棟に。郊外より訪れた人々は製材棟から運ばれてきたそのままの作品を直に見、触れ、木の香りに包まれる…。地域の生業と連携できる実習棟は、森林組合主催の森林塾や民宿女将の伝統料理教室、林間学生の学びの場として。
地元愛はありながらも郊外に出ざるを得ない若者や、未だ燻る情熱に蓋をし「老い」に身を任せる人々らを繋ぐ建築、それが「林郭」である。
指導教員からの講評
見邨 佳朗
過疎化・高齢化する「準限界集落」において、地域資源である木材、中でもこれまでは建築用材として極端に限定された使用のみであった間伐材の新たな活用に、地域の雇用を重ねて村の再生を目指した計画である。吉野材小径木を集合体として組み合わせ、構造材利用を目指し接合部は金物仕様とするのではなく、伝統工法の込栓を用いることにより地域独特の技能従事者やそこを目指す若者の雇用と結び付けようとした視点を評価した。この構造によってつくられた建築は、作業スペース・実習スペース・ふれあいスペースとして生業や新たな地域特性に対して波及することを予感させる。
審査員の方の講評
井上久実設計室
井上 久実
コンセプトについて
地方では、限界集落の活性化の一つとして、外部からの資本を取り入れ、古民家を改修して宿泊施設として再生し、観光客を集落に取り込むことはよく行われています。しかし、集落の人々が置き去りにされ、人々の生活と観光が軋轢を生んでいる残念な事例もあります。
この提案では、林業で栄えた洞川の村の再生を、林業を通して行う、村の大事な資源を住民が使うことで、住民の力を産み出す素晴らしい発想です。
大きな木は小径木として細分化し、小さく、軽くなった。村の誰もが小径木を手に取ることができるようになり、村の再生の一歩が住民から始まるのが実感出来ました。
小径木を使用した建築の提案について
小径木はそのものが小さく、弱いが、束ねることで大きな力となります。しなやかであり、繊細な表現が可能であり、構造体だけでなく、家具やインテリアにも使用可能、無限大の可能性があります。
提案の建物は屋根の小屋組を小径木で組み、繊細な表現が模型で窺えました。しかし、よく見ると屋根の下の空間が等閑にされていないでしょうか?小屋組の組み方と下の空間は一体であるはずなのに、それが感じられないのです。講評会でも申し上げましたが、類似事例として工学院大学の弓道場、ボクシング場が思い浮かびました。静寂の弓道場の空気感と繊細な小屋組、力強いボクシング場の空気感と力強い小屋組が表現されています。
製材、実習、展示という用途を小径木を使って小屋組と下の構造体とで全体で表現して欲しかった、というのが私の感想です。今後のご活躍に期待します!
~山間部における準限界集落の再生~ 小径材で組む木造建築群 林郭 卒業展2023 準グランプリ
小倉 全勝 建築学科
準限界集落を舞台とし林業施設を計画、地域の復興をテーマとした。
建設には周辺で取れる木材を使用するが、一帯は未だ生育途中の山林であり、その多くは間伐材となる。構造材として扱いの難しい間伐材を小径材として製材し、組み合わせる事でその短所を見直した。
製材棟は材木を整形加工する場として。小径材とする事で手間がかかり雇用に繋がると共に、女性や高齢者も従事し易くなる。そこでは伝統技術の伝承が行われ、端材は家具や土産物等に加工、隣接の展示棟に。郊外より訪れた人々は製材棟から運ばれてきたそのままの作品を直に見、触れ、木の香りに包まれる…。地域の生業と連携できる実習棟は、森林組合主催の森林塾や民宿女将の伝統料理教室、林間学生の学びの場として。
地元愛はありながらも郊外に出ざるを得ない若者や、未だ燻る情熱に蓋をし「老い」に身を任せる人々らを繋ぐ建築、それが「林郭」である。
【指導教員からの講評】
過疎化・高齢化する「準限界集落」において、地域資源である木材、中でもこれまでは建築用材として極端に限定された使用のみであった間伐材の新たな活用に、地域の雇用を重ねて村の再生を目指した計画である。吉野材小径木を集合体として組み合わせ、構造材利用を目指し接合部は金物仕様とするのではなく、伝統工法の込栓を用いることにより地域独特の技能従事者やそこを目指す若者の雇用と結び付けようとした視点を評価した。この構造によってつくられた建築は、作業スペース・実習スペース・ふれあいスペースとして生業や新たな地域特性に対して波及することを予感させる。 <見邨 佳朗>
近年、人口減少による国土管理の担い手不足、気候変動による災害の増加、また環境問題の深刻化など多岐にわたる課題が迫っています。
そこで、緑の持つ機能を用いて魅力ある持続可能な基盤づくりを後押しするというグリーンインフラの考え方を用い、今回は農地と集中豪雨やヒートアイランド現象等の対策となる雨庭を計画しました。
施工計画はその雨庭を対象とし取り組んでいます。
雨庭はまだ前例が少ないためわからないことも多く苦戦しましたが、先生方やクラスメイトに助けられ仕上げることができました。
卒業後は 緑の力を最大限に発揮させた美しくて賢い緑空間の創造に向けて、知識と経験を深めていきたいと考えています。
指導教員からの講評
松田 泰行
「グリーンインフラ」による新しい公園計画を提案してくれました。地球に優しく、そして持続可能な(SDGs)、社会と経済の発展に寄与する計画になっているなと感じています。都市に必要な自然環境を創出することはみどりを扱う、私達の学科ならではの計画だと思います。
デザイン重視で無く、設計主旨に時間を掛け整理し、今人々に必要なものは何かを導き出してくれました。また、彼女の貪欲さには敬意を表したいと思います。設計にとどまらず、施工についてもこの計画の中で検討しているのです。その探求心は、これからも続けて行って貰いたいと思います。結果、導き出された「雨庭」という言葉は、これからの公園計画に新しい方向性を示してくれるように思います。多自然型という考え方による公園計画が、どの様なかたちになるのかを示しくれて、後輩の学生たちに与えた影響は大きいと感じました。
審査員の方の講評
修成建設専門学校
校長 堤下 隆司
皆さんもご承知の様にSDGs は、2015年に国連が全会一致で定めた国際目標です。本校でも一昨年から「Sゼミ」と称して、全校学生がSDGsについての知識を深める取組を積極的に行っています。その初年度に入学した学生の皆さんが、卒業にあたり制作する卒業設計に於いて新規に「SDGs賞」を設定しました。その栄えある第1回受賞作品が、ガーデンデザイン学科2年1組の高田結衣さんの「Returning Nature to the Earth~グリーンインフラ技術で持続可能な社会基盤を~」です。
この作品は、大阪市西淀川区内にある人工河川を埋め立ててできた大野川緑陰道路があり、その緑陰道路が西淀公園と隣接する箇所にランドマーク的な施設を計画し、完成までを担当する連携事業について、まとめた作品です。西淀川区のコンセプトは「様々な人々や場所を『つなぎ』過去から未来へ思いを『つなげる』みちへ」で、その趣旨を理解し、設計にどの様に反映し、更にSDGsの達成目標を意識した設計となっているのかが評価のポイントであったと思います。
緑陰道路の改修工事はインフラ整備であり、その一環として自然環境の多様性な機能を活用し、持続可能で魅力あるものにするという「グリーンインフラ」と人口構造物による社会基盤を「グレーインフラ」という表現を用いており、良く考察されていると思われます。特に「グリーンインフラ」は、幅広い分野から関心が集まっており、様々な国際会議で推奨されており、「グリーンインフラ」に持続可能な開発目標の達成を目指す設計主旨が込められた点は高く評価できると思います。
以上の事から、本年度の「卒業展2023」から新設された「SDGs賞」の栄えある第1回の受賞作品に相応しい作品であると思われる。
Returning Nature to the Earth ~グリーンインフラ技術で持続可能な社会基盤を~ 卒業展2023 SDGs賞
髙田 結衣 ガーデンデザイン学科
近年、人口減少による国土管理の担い手不足、気候変動による災害の増加、また環境問題の深刻化など多岐にわたる課題が迫っています。
そこで、緑の持つ機能を用いて魅力ある持続可能な基盤づくりを後押しするというグリーンインフラの考え方を用い、今回は農地と集中豪雨やヒートアイランド現象等の対策となる雨庭を計画しました。
施工計画はその雨庭を対象とし取り組んでいます。
雨庭はまだ前例が少ないためわからないことも多く苦戦しましたが、先生方やクラスメイトに助けられ仕上げることができました。
卒業後は 緑の力を最大限に発揮させた美しくて賢い緑空間の創造に向けて、知識と経験を深めていきたいと考えています。
【指導教員からの講評】
「グリーンインフラ」による新しい公園計画を提案してくれました。地球に優しく、そして持続可能な(SDGs)、社会と経済の発展に寄与する計画になっているなと感じています。都市に必要な自然環境を創出することはみどりを扱う、私達の学科ならではの計画だと思います。
デザイン重視で無く、設計主旨に時間を掛け整理し、今人々に必要なものは何かを導き出してくれました。また、彼女の貪欲さには敬意を表したいと思います。設計にとどまらず、施工についてもこの計画の中で検討しているのです。その探求心は、これからも続けて行って貰いたいと思います。結果、導き出された「雨庭」という言葉は、これからの公園計画に新しい方向性を示してくれるように思います。多自然型という考え方による公園計画が、どの様なかたちになるのかを示しくれて、後輩の学生たちに与えた影響は大きいと感じました。<松田 泰行>
都会の暮らしに“自然”は足りているか?人は“自然”に暮らせているだろうか?
「“自然“と繋がることで人間のストレスを緩和する」その点を考え抜いた建築を作りたかった。地上エリアは受動的な自然を享受する場、地下エリアは能動的に自然を享受する場である。
地上部中庭からの景観はどの角度からも緑視率30%以上に設定、緩やかなスキップフロアで構成された居住ユニットを自然の風が通ってゆく。
地下エリアでは天候や気候に左右されずに人々が活動する。外部に繋がる共用棟と集会所を設置する事で地域を巻き込だ大きな環境を造り出す。
自然・人・地域がこの建築を介して循環する。そんな想いを込めて「ループ」と名付けた。