学生たちの受賞作品
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コモンズの暮らし ~ひとつの屋根の下で~ 卒業展2024 グランプリ
辻本 恵人 建築学科
私の卒業設計は、近未来の生活と1950年代以来の生活の見直しと改善方法の探求をテーマにしました。このプロジェクトを通じて、私は現代社会と昔の価値観を融合させ、新たな生活スタイルとして「コモンズの暮らし」を提案しました。
卒業設計の制作過程で、私は自分の生活にも「コモンズ」が存在していることに気づきました。人々が気づいていなかっただけで、私たちの周りにはコモンズが数多く存在し、それらの場所を広く知ってもらい、多くの人が利用できるようになれば、これが町に大きなコミュニティを生み出す場所になると感じました。
私は、卒業設計を通じて提案する新しい暮らし方が、単なるコモンズではなく、地域全体にポジティブな影響を与えることを期待します。人々がコモンズを理解し、利用することで、豊かなコミュニティが形成され、町全体が活気づくことを願います。これは、私が建築学生として追求してきたことを具現化する良い機会であり、私の卒業設計が将来の自分が建築を設計する中で役に立つものになると期待します。
【指導教員からの講評】
近世、全国的に問題化注視を避けがたい、「限界集落」「過疎地における今後の展望」の解決策として、地域を限定して学生らしく提案した作品。
7月から12月まで半年間、コツコツと住民のアンケート調査を含む現地調査を踏まえ、計画を継続して、多くの図面やスタディー模型等の作成は秀逸である。農作業を介して「コモンズ=共有」を軸に時間の経過を見込んで、今後の近未来の村の「近代の里山の暮らし」を提案している。
調査資料を含む「企画書」は作者の執念を纏めた資料となっている。 <青砥 聖逸>
見上げる 卒業展2024 準グランプリ
増田 眞士 建築学科
あれは2年前のことです。大阪に来てある景色に違和感を感じました。それは下を向いて人々が歩いてることです。電車や街中、帰り道でさえ忙しそうに見えて、時間の流れがとても早く流れているように感じました。これは下を向くことと関係しているのではないかと思いました。そこで、「見上げる」という小さな行為が、忙しい日々から抜け出せるきっかけになるのではないかと仮説をたて、卒業設計のテーマにすることにしました。
自然な見上げるをしてもらうため、箱型を基準に20パターンの空間スタディを行いました。どんな空間をつくれば効果があるのか、建築に落とし込めるかを意識して作りました。その中で壁の操作が最も変化を産み必要なものだとわかりました。スタディで得た発見をもとに見上げる街をつくっていきます。
【指導教員からの講評】
都市に抱いた何気ない違和感に着目し、それはどこからくるのかという問いをたて、掘り下げていく。そんなピュアな気持ちに素直に向き合った卒業設計である。とらえどころのないテーマをどう形にして空間化していくのかが課題であったが、「見上げる」という身体的行為の魅力に幾度となく立ち返り、考察し、形を作っていった。そんな真摯な姿勢を評価するとともにこれからの建築の世界で大いに学び活躍していってほしい。 <邊見 栄俊>
「結」 卒業展2024 SDGs大賞
金井 瑞輝 建築学科
私の地元の滋賀県には「葦」が沢山生えていて、「葦」を刈り込んだり、編んだりすることによってできる空間づくりを体験する機会が日常的にありました。 「葦」という植物に興味を持ち、調べていくうちに「結」という共同体の精神に出会い、新しいものが生まれ、古いものは忘れられるこの時代に私は「結」を思い出し、知ってもらえるような場所を創ろうと思いました。 模型では葦をどう表現するかを試行錯誤しました。模型は後輩達に手伝ってもらい、アイデアはたくさんの先生方にアドバイスをもらいました。私はこの時に「結」の相互扶助の関係を感じました。私の作品を通して「結」を思い出し、知ってもらうのはもちろん章の面白さや魅力を知ってもらえるといいなと思います。
【指導教員からの講評】
建築は柱を立てたり、石を摘んだりといった構築的な行為によって作られると考えがちだが、この提案は、地面から生えている葦を「刈り取る」という行為のみで空間をつくれないかという根源的な問いに着目していて、面白い。惜しむらくは、その面白さや発見を自分自身が自覚的になれなかったこと、何かを作らなければならないという固定概念が邪魔をしてしまっていたことにあったのではないか。今後社会に出ていく過程で固定概念に縛られず、様々なことにチャレンジしていってほしい。 <邊見 栄俊>
憩いの森図書館 卒業展2024 基本設計コース賞
西原 尽思 建築学科
卒業設計で手がけた図書館では、内部空間と外部空間の融合に焦点を当てました。建物のデザインは、開かれた構造でありながらも周囲の自然と一体化することを目指しました。
大きな窓や、緑豊かな庭園を設けることで、大きな窓から野外の緑を望める、これにより、建物内外の境界が曖昧となり、利用者は自然の美しさを同時に楽しめる環境を提供できました。
内部の機能的な配置も、外部の景観と連動し、利便性と心地よい雰囲気を共に実現しました。建物全体がまるで自然と共に息づいているかのような調和が感じられ、利用者に静けさと創造性の共存を感じさせる図書館となりました。
【指導教員からの講評】
建築は存在自体が地域にインパクトを与える。その場所のランドマークとなり、地域社会の暮らしの中に、デザイン自体が活力を与え、大きな影響力を及ぼし豊かな暮らしに貢献できる。
この作品はそうした原動力と成り得るのではないか。地形に乏しい計画地に丘をつくり、施設を潜り込ませ、尚且つ浮き上がるようなフォルムの構成は「建築力」として計画当初から高く評価しており、図面表現に留めるのではなく、ダイナミックな模型製作まで指導した。 <青砥 聖逸>
心機一転 卒業展2024 意匠設計コース賞
MOHAMMAD ZAHIER AIDAN 建築学科
私の好きな日本語に「心機一転」という言葉があります。意味は明るい気持ちに切り替えてやり直すことです。私は悲しい歴史がある地域で、コミュニティのための新しい建築物を設計したいです。結果は悲しい記憶から幸せな記憶に替えます。2008年12月6日に私の故郷であるマレーシア、ブキ・アンタラバンサ地区で発生した地すべり事故は、 14棟の住宅が倒壊したほか、4 人が死亡、15 人が負傷しました。この場所は現在では一部の廃墟を残すままで、何も利用されていない斜面地が広がっています。この場所をポジティブな場所として利用することで、集団的進歩の感覚を育める場所を考えました。 地域のニーズに応え、地元の起業家が店を構えるスペース、地域の人が利用できる空きスペース、人々が読書や勉強をするための快適な図書館などのコミュニティ複合施設の提案をします。
【指導教員からの講評】
過去に土砂災害があった悲劇的な場所に着目し、ネガティブな状態のまま放置されている土地をなんとか人々が活動するポジティブな場所として生まれ変わらせようとする計画。この計画は単純な土地の有効活用にとどまらない。斜面を上り下りする体験とともに、ここで起きた事件を追体験する建築として、過去の出来事を伝えるメディアとしての役割も果たすだろう。今後の目標としては評価にとらわれず、最後まで提案をし続け、完成まで持っていってほしい。 <邊見 栄俊>
緑と空間を活用した集合住宅 卒業展2024 企画設計コース
福井 柊希 建築学科
私は今回卒業設計で、緑と空間を使った集合住宅を構想しました。卒業設計という初めての経験、今回たくさんの苦難がありました。自分から進んでチャレンジすると決め、今回卒業設計で大規模な建築を設計しました。作品のを作る上で特に苦労したのが模型作りでした。サイズ通りに作ったと思っても、つぎはぎが生まれたり、届かなかったりなど問題も多く起こりました。今回初めての挑戦でたくさんの失敗と経験ができました。一から大きな建物を作る、それを形にする難しさ。今回それを強く実感する事ができました。この卒業設計制作ではじめて経験し、学んだ知識を活用しこれからに繋げていきたいです。今回学んだことで失敗の大切さを学びました。これからも失敗を恐れず新たな事にチャレンジしていこうと決意しました。
【指導教員からの講評】
住み慣れた地元を計画敷地に設定し、馴染み深い用途の共同住宅を計画建物とすることは、日頃から建築学生としてしっかりと問題意識を持って日常生活を送っている裏付けであると推察します。壮大な思想表現ではなく非常に現実的な目線を持った本計画案は、設計職を志す制作者にとってこの上なく有意義な思考の訓練であり、2年間の学習成果が表れています。 <福山 亮介>
未来の共生社会を築くための提案 Building a Future of Inclusive Societies 卒業展2024 景観まちづくりコース賞
露久志 のいり 建築学科
私は高校生の時に本格的に国際問題について学びました。中でも、私は移民難民問題について研究を深めていました。そこでは問題の明確な解決までに至ることができず、いつかこの問題について自分の力で提案したいと考えていました。日本に来た人も、生まれも育ちも日本の人も環境次第で居場所がないと感じてしまう。そんな寂しい思いはしてほしくない。みんなが人間らしく尊厳が守られる生活を目指し、この提案をさせていただきました。私がこの作品を作りながら一番に考えていたことは、子どもも大人も国籍も性別も問わずみんなが笑顔で笑い合っている情景でした。この情景を思い浮かべながら見ていただけると幸いです。
【指導教員からの講評】
高校時代から、複雑でグローバルな問題を理解し、そのことに取り組むための熱意がこの作品には示されており、移民や難民の困難に対する解決策を提案しようとする作者の願望は、深い共感と社会的責任感を反映している。国籍や性別、年齢に関係なく、誰もが所属感と尊厳を見出せる世界を思い描くために多くの考えを巡らせていることが明確である。背景に関わらず、人々が笑い合い、笑顔を共有できる環境を育むことに重点を置くことは、心温まるものである。建築のスキルを使って急務の社会問題に取り組む作者の姿勢は賞賛に値する。これから出ていく実社会において、実用的なニーズを満たすだけでなく、今回の設計で取り組んだすべての個人の公平さ、共感、尊厳の価値を守る空間を創造する、そんな情熱を育んでいくことを望む。 <見邨 佳朗>
S構造設計事務所 卒業展2024 構造コース賞
小林 奨 建築学科
今回の構造設計コースの卒業設計は、大梁・柱・基礎の計算に焦点を当てました。
構造設計は地味ながらも建物を支える肝心な仕事です。大梁が荷重を適切に分散し、柱が耐荷重性を備え、基礎が地盤と建物の重さを考慮することになります。
それが建物の安定性を築く土台となる。
構造設計者は地味だけれども、その仕事がなければ建物は成り立たない。
次年度、構造設計コースに参加する方には、検算や地道な努力が美しい建物の実現に繋がると考えるので、頑張って頂きたいです。
構造コース5名を代表して
【指導教員からの講評】
建築学科卒業設計「構造コース」は、学生5名と教員2名で始まり、夏の勉強会と4ヵ月に及ぶやり取りの中から「構造解析」の結果としての「構造図」を作成しました。
水曜日4限目の148教室にて「構造の世界」をイメージしながら思考しました。小林君の苦心溢れる「構造計算書」と「構造図」をご覧下さい。 <泉 洋輔・荒木 伸輔>
舟宿ーふなやどー 卒業展2024 木造コース賞
菊池 慶吾 建築学科
初めは舟屋についての理解が浅く、単純に幻想的な景色で綺麗な所だと感じて卒業設計の計画地としましたが、調査を重ねて形をつくっていく過程でだんだんと舟屋の雰囲気やデザインの理解が深まっていく実感を持つことができました。苦労した点は模型作りで、細かい部分の取り扱いや接着、組み立てを正確にするところが難しかったですが、小さな部品の作成や複雑な箇所の組立ての時は時間を忘れて作業に集中できました。屋根の形に変化をつけて特徴を持たせた部分が一番大変だったところです。初めての計画だったので、とにかくやってみると言う気持ちで進み続けて、最後までやり遂げた事に自分自身の成長を感じられ、完成したときにとても達成感がありました。
【指導教員からの講評】
京都府の「伊根の舟屋」という特徴のある地域と建物を計画地にし、その魅力をより高めるとともに問題点にも着目して調査を進めながら、プランの作成をしていた。軸組模型に苦戦していたが友人の応援も得ながら作り上げており、自身で良い製作環境づくりができていたと思う。過程の前半に時間がかかってしまっていたが、後半はスパートをかけて最後はしっかりと白模型の完成まで持っていったことも評価したい。 <岡﨑 祐介>
鄙の 拠り所 ~町を活性化させるために・・・~ 卒業展2024 準グランプリ
森本 哲太 建築CGデザイン学科
僕がこのような卒業設計を制作した理由は「地元愛」から生まれました。三重県名張市はとても田舎で観光地が少なく、知名度が低い地域であるため、訪れる人も少なく存在が十分に認識されていません。この状況を改善し、町の魅力を引き出すために、私は卒業設計の中で「町を活性化させるために…」というサブタイトルを選びました。名張市の地域の特徴などを活かした観光地を提案し、訪れた人々に地域の魅力を感じてもらうことを目指しました。この施設はSNSなどで拡散能力が高い若者を中心に来客してもらう為に映えるような見た目になるようこだわりながら作成しました。そして、期間限定でハロウィンやクリスマスなどのイベントの装飾をしたり、若者で流行しているものなどとコラボを計画したりすることでリピーターをつくれると考えました。
【指導教員からの講評】
三重県名張市の観光地不足や知名度の低さという地域特有の課題に対し、創造的かつ具体的な解決策を提案している。施設のデザインにおいては、SNSや若者文化との連動を意識し、映える要素を取り入れることで、広範な層に訴求する魅力的な場所を構築している。
地域の特色や季節感を活かした装飾やイベントの提案は、訪れた人々に地域の魅力を実感させるだけでなく、地域コミュニティや観光業界に大きな貢献をもたらす可能性を秘めている。この卒業設計を通じて、地元愛を具体的な提案に結びつける姿勢は称賛に値する。
<見邨 佳朗>
HABILAT 卒業展2024 CGデザインコース賞
辻本 温月 建築CGデザイン学科
入管法の改正以来、日本国内の在留外国人は増加傾向にある。長期滞在する中で自国ではなく日本を終の棲家として選んだ外国人高齢者の、特に外国人の認知症に着目した。認知症の発症の予防・進行の抑制にフォーカスを当て、かつ建築的側面からアプローチする上でPEAPという環境指針を採用した。
ライフスタイルの継続・QOLの保持とその先で迎える最期こそ、自立した個人として生きる上でのあるべき形である。
この「HABILAT-ハビラ-」は、計画地である愛知県豊田市に留まらず、日本各地で暮らす在留外国人が将来を見据えた時に、自分の終の棲家として日本を選択する上での新たな選択肢としての役割を担うものである。
【指導教員からの講評】
この計画は、日本における在留外国人の高齢化に対する重要な課題に焦点を当て、その解決に向けた革新的なアプローチを提示している。PEAPという環境指針を採用することで、認知症の予防や進行の抑制に焦点を当て、建築的にその指針を形作ることに取り組んでいる点が高く評価される。在留外国人が日本を終の棲家として選択する際の新たな選択肢としての役割を果たすという視点は、地域社会における多様性と包摂性を促進し、在留外国人が日本社会においてより自立した個人として生きることを支援する取り組みとなる。今後もこのような社会的課題に対する建築の役割を模索し、積極的に取り組んでいくことを期待する。 <見邨 佳朗>
slow world 卒業展2024 準グランプリ
光田 杞香 空間デザイン学科
図書館で自分軸のカイロス時間をじっくり味わえる事ができるスローワールドです。
アレグロのような都市のリズムを持ち込まず、近代以前の円環的時間の考え方に戻って本を一つ一つ手に取って、アナログな形でリラックスして本と向き合って見るのはどうでしょうか?
アンダンテのようなリズムが体や心が落ち着きを覚え、本に没頭できる空間となっています。
【指導教員からの講評】
彼女は課題プレゼンテーションではいつも笑顔で周囲を和ませ、また多くの後輩にとっての憧れの先輩です。それは彼女のプライドによるものです。繊細と破天荒が同居する彼女の設計は、常に凄まじい集中力と決して人に見せようとしない格闘の成果だと、私は知っています。今回の卒業設計でもそのことを感じされられました。将来は空間デザイナーの夢を叶えるのか、はたまた。
彼女がこれからどんな人生を歩んで行かれるのか、とても興味があります。 <鍵谷 啓太>
電柱の群生地 ー 繋ぐロープウェイ計画 ー 卒業展2024 空間ディプロマコース賞 ー
荒木 呼春 空間デザイン学科
電柱を利用した新たなライフラインを提案します。今計画は交通難民及び、過疎地域の減少を目的としています。
最近、公共交通機関廃止の影響で交通難民が増加しています。新たな公共交通機関を検討した際、目的の場所が利用者の元に移動すれば良いという結論に至りました。日本では無電柱化が進められていますが、全ての電柱を撤去するには莫大な費用と期間がかかります。そこで、電柱を資源として考え、電柱にワイヤーを設置し施設が移動する為のゴンドラを走らせるロープウェイを計画しました。利点として、新たに公共交通機関を設けるより安価であり、電柱は全国にある為どの地域でも実用化することができます。また、空中を走るので道路の舗装が十分でない地域でも活用できます。
【指導教員からの講評】
率直に言うとライフラインの更新問題を取り上げた作品です。ただし解決の手法が無線化などで撤去されていく電柱を資源として再生させるアイディアに革新性がある作品です。社会にはライフサイクルで廃棄に至る存在が数多くありますが、発想一つで資源に転換される可能性を垣間見させてくれます。公共サービスの廃止で移動が制限される未来でサービスごと移動してくるというアイデアは、未来にやどった霧が晴れるような唯一無二の卒計となりました。 <眞野 サトル>
緑と本の園 卒業展2024 インテリアコース賞
岩谷 美空 空間デザイン学科
「都会の中に学びと遊楽用の庭( 園) を造る」
これをテーマとし、図書館そして屋上に温室植物園とテラスを計画しています。ここに展示される植物は生息域外保全と滅危惧種の栽培といったSDGsへの取り組みを行います。さらに、開架書庫やエントランスに緑を取り入れることで緑との共存空間が生まれます。また、この図書館では古本も一部取り扱いするようになっており、本も植物も循環する環境にもなっていくようにと計画しました。この図書館では差別化として2階開架書庫から本を持ち出して3階植物園で読むことも可能にしています。
包摂的且つ安全な緑地としても全てを開放する形です。こうしてさらにSDGs 実現を目指していき、都会の中心部ですべての人が開放的な都会の中に学びと遊楽用の庭を形成します。
【指導教員からの講評】
繊細かつ大胆な発想でいつもドラスティックな空間を提案してくれる彼女らしい作品。均等なスパン割による丁寧な平面計画でありながらガラス張りのファサードは美術館のような華やかさを持っています。図書館としてはご法度ともいえる外部との関りを積極的に生み出していて、図書館の新たな可能性を提示しています。また想像を形(絵)として表現する能力も素晴らしく、卒業後の活動も大変楽しみです。 <阪本 剛史>
本のオアシス — 癒しを求めて ― 卒業展2024 空間基本設計コース賞
板谷 星斗 空間デザイン学科
「都会の中に学びと遊楽用の庭( 園) を造る」
これをテーマとし、図書館そして屋上に温室植物園とテラスを計画しています。ここに展示される植物は生息域外保全と滅危惧種の栽培といったSDGsへの取り組みを行います。さらに、開架書庫やエントランスに緑を取り入れることで緑との共存空間が生まれます。また、この図書館では古本も一部取り扱いするようになっており、本も植物も循環する環境にもなっていくようにと計画しました。この図書館では差別化として2階開架書庫から本を持ち出して3階植物園で読むことも可能にしています。
包摂的且つ安全な緑地としても全てを開放する形です。こうしてさらにSDGs 実現を目指していき、都会の中心部ですべての人が開放的な都会の中に学びと遊楽用の庭を形成します。
【指導教員からの講評】
繊細かつ大胆な発想でいつもドラスティックな空間を提案してくれる彼女らしい作品。均等なスパン割による丁寧な平面計画でありながらガラス張りのファサードは美術館のような華やかさを持っています。図書館としてはご法度ともいえる外部との関りを積極的に生み出していて、図書館の新たな可能性を提示しています。また想像を形(絵)として表現する能力も素晴らしく、卒業後の活動も大変楽しみです。 <阪本 剛史>
目の前にイオンがあるのに建てたスーパー 卒業展2024 建築施工管理コース賞
長谷 真良 住環境リノベーション学科
私は、卒業設計課題として、施工管理コースを選択しました。当初は、何から手をつけて良いのか不安の中スタートしました。
建設予定地が決定し、本格的に進めるにあたり各段階で、不明な点ばかりでした。
担当の先生のところに何度も足を運び、指導を受けました。時には心が折れそうになる時もありましたが、提出期限内に完成することができました。
卒業設計を通じ、鉄筋コンクリート造の理解がより深まりました。加えて基礎部分のコンクリートの拾い出しや、総合仮設計画図の作図、簡易模型作製をし、成長した自分があり、達成感を得ることが出来ました。
卒業後は、防水材のメーカーでの職に就きますが、この経験を活かし、頑張ります!
【指導教員からの講評】
施工管理コースは、鉄筋コンクリート造における生産設計図の理解を深めるコースです。
2年間の集大成である卒業設計でしたが、前半の進捗状況が良くなかったです。
後半は、授業の合間や昼休み、放課後と指導を受けに熱心に来てくれました。努力すれば出来るということが実感できたと思います。
厳しい指導の時もありましたが、最後までよく頑張ってくれました。
各図面が「同じ一つの建物」に関することであり、1本1本の線の大切さを伝えることができました。
<樋下 昌俊>
離島の別荘 卒業展2024 木造施工管理コース賞
久松 礼智 住環境リノベーション学科
私が今回卒業設計で計画した場所は、私が小学生の夏休みに毎年行っていた祖父の実家のある島にしました。私にとって毎年通った思い出深い場所です。この場所で理想的な別荘を建設する事を計画しました。この別荘のコンセプトは、アウトドアとインドアの両方を楽しめ、自然に囲まれた別荘です。玄関の目の前には海が広がり、すぐに海に飛び込めます。建物の裏手には芝生の広場と建物の雰囲気にあった日本庭園、室内では映画鑑賞やカラオケを楽しめるホームシアター、庭を眺めながらのBarルーム、団欒できる囲炉裏部屋、縁側と子供から大人まで楽しめる空間に盛り込みました。卒業設計を進めていく中で、普段の授業では学び切れない木造軸組工法の構造についての知識を得ることができました。模型製作では、図面を読みながら立体的に組み上げていく過程は、難しさもありましたが、楽しくもあり、ものづくりの楽しさを改めて感じられた卒業設計でした。
【指導教員からの講評】
幼少期の思い出のある場所で、楽しい思い出をさらに楽しい思い出の作れる空間を計画した作品である。彼は普段から真面目な性格だが、遊び心をふんだんに盛り込んだ計画からも卒業設計を楽しんで取り組んだ結果だといえる。特に軸組模型は細部まで精度に拘った模型は圧巻である。今後は細部まで手を抜かない大工になる事を期待している。 <井上 嘉亮>
「人と緑もつなぐ駅前広場」 卒業展2024 自由創造コース賞
石川 聖人 住環境リノベーション学科
私の卒業設計の課題は大阪府吹田市にある、JR岸辺駅に着目し駅前広場の開発を題材としました。私は幼少の頃から「鉄道」が好きで、今回は「建築」と「鉄道」を融合した作品を制作しました。
この模型の見どころは、素材にこだわりました。たとえば多目的広場。実際に作るのであれば、コンクリートを使用する仕様なので、模型ではモルタルを使用し作成。他にも木の幹は、木製の爪楊枝を使用しました。そうすることで実物に似た質感を得ることができ、よりリアルに表現できるからです。ぜひよく目を凝らして見てみてください。
作品を制作するのはとても大変でしたが、完成すると作って良かったととても思いました。
【指導教員からの講評】
住環境リノベーション学科初めての自由創造コースです。(次年度より「建築施工学科」に名称が変更となります。)
今年から設置されたコースで、「建築」と「鉄道」をコラボした作品が出来上がりました。次年度の後輩にも良い影響となるような作品が完成しました。
模型を製作する彼の姿勢は普段見たこともないような集中力で頑張っていました。
良い駅前広場の開発事業になりましたね。
<樋下 昌俊>
道路交差点設計 卒業展2024 道路設計コース賞
清水 颯 土木工学科
この作品は、私たちが日ごろ頻繁に使用している交差点の設計です。与えられた交通条件をもとに、交差点で渋滞が発生しないよう、信号の長さを調整するなどして計算した上で、交差点の幾何構造を決めました。計算結果を反映させながら内側半径・外側半径・緩和曲線の半径を算出し、それらを組み合わせて平面図の右折・左折導流路を表現したところはかなり苦労しましたが、頑張ったところの一つです。是非交差点の真ん中に着目してみてください。この卒業設計で、設計者として見ることで今まで当たり前に使用する道路について見落としていた部分が見えるようになり、視野が広がりました。卒業後も活かしていきたいです。
【指導教員からの講評】
この作品は、ある想定の交通流を捌くことができる交差点を設計するという、土木のソフト面である「交通工学」をメインとしたものである。信号現示を調整し、需要率を下げて交通流を捌くことができる交差点が設計されている。ハード面についても、道路構造令に準拠した幾何構造で、苦労した導流路も正確に描かれている。ハード面とソフト面の両方が考慮された、現実の設計に近い作品であった。 <広瀬 一樹>
道路路線設計 卒業展2024 道路設計コース賞
出井 椋大 建設エンジニア学科
この卒業設計は地形図を用いて片側5m全幅10mの道路を300m計画するものでした。最初に地形図のデータの等高線を読んで現況の縦断図と横断図を作成したが、特にこの作業が一番大変だったように感じています。細かい作業が多く、根気強くする必要がありました。測量のミスなどもあり、特に横断図の作成には時間がかかった。
縦横断図作成後、計画縦横断を作成し、土量計算のために必要な切土面積、盛土面積をAutoCADの面積計算の機能を活用して求め、Excelを用いて土量計算表を作成。この作業で改めてAutoCADの便利さをしれた。
卒業設計を終えて、1年の頃からいろんな授業でCADやExcelに触れてきて、いろいろな機能を学んできたことの意味を知ることができた。
これから、社会人になってからが本番なので基礎を忘れず頑張っていきたいです。
【指導教員からの講評】
道路設計コースの道路路線設計は、入学してから学んだCAD製図、測量学、施工学などの知識を基に、地形図をもとにペーパーロケーションで等高線を読みながら、縦横断測量から土量計算までの一連の流れを実施している。この設計はこれまでの学習成果である知識を活用し、直線の道路ではあるがエクセルの計算機能やAuto CADの計測機能等を活用し道路の縦横断計画をして図面にまとめている。 <野瀬 孝男>
笑顔あふれる温かい公園 ~「ひだまりの森」~ 卒業展2024 設計コース賞
木村 春音 ガーデンデザイン学科
家族みんなで楽しそうな時間を過ごしている、近所の人と仲良くお話をしている、子供たちが笑顔で元気よく遊んでいる、
このようなシーンを街の中で見ると心温まる瞬間があると思います。
そんな心温まる素敵な場面を自然に生み出せるような公園を作り、この空間を中心に明るい街になってほしいという思いで設計しました。
温かい公園を作ることで世代の離れた交流、地域の人との交流の場が増え、地域の人にとっても住みやすい街づくりにつながると思ったからです。
結婚式を挙げたおふたりが気軽に思い出の場所に子供と帰ってきてほしいため、公園の隣に結婚式場を設置し、
どうしたら年齢関係なく笑顔あふれる公園、わくわくするような公園になるかを考えながら計画しました。
【指導教員からの講評】
この作品はエリアごとに結婚式場・パン屋・こども園などの施設があり、この地域にはない新たな魅力が生み出されると共に多世代がこの公園に集まり明るく温かい街になってほしいと願う彼女の優しさが詰まった構成である。利用者の立場となって考え植栽・エリア全て1つ1つに緻密な仕掛けとこだわりがみられる。周囲を明るく照らし愛され者である、まさに『ひだまり森』のような作者本人を存分に表現した作品となっている。 <窪田 彩音>