一生けん命にやるかどうか。性別なんて関係ない。
建設業界で働く女性を「けんせつ小町」と呼ぶことはご存知だろうか。彼女たちの活躍は目覚ましく、今や、「建設業界=男の世界」という固定概念は無くなりつつある。今回は、そんなけんせつ小町のひとり大下礼子氏のもとへ、修成の女子学生3名が訪れた。自身がデザインを手がけたお店を舞台に、先輩から次世代のけんせつ小町たちへ、仕事の流儀、ものづくりへのこだわりなどを語ってもらった。
【けんせつ小町とは?】
建設業界の多様な職種で女性が活躍していることを業界内外に広く知ってもらいたいと日本建設業連合会が選定した女性技術者・技能者の愛称。
一人で会社をスタートして約10年。
けんせつ小町として生き抜いてきた。
大下:私が代表取締役を務める株式会社Dlifeplanning(ディーライフプランニング)は、建物やインテリアの設計・デザインを中心にさまざまな業務に携わっています。
北島:私も独立には憧れがあります。自分の会社を持つって、すごくカッコいいですよね! 大下さんはいつ頃から独立を考えていましたか?
大下:学生時代から、「30歳までに独立しよう」と考えていましたよ。20代は一日でも早く一人前になろうと全力疾走。毎日、設計やデザインと必死に向き合っていました。その甲斐あって、目標通り30歳で独立の夢を叶えました。
三好:自分の会社をつくるなんて、私には想像できません(笑)。それに、一人で仕事を全部こなすのは、すごく大変そうですね。
大下:助けてくれる上司や同僚がいないため、少なからず不安はありましたが、自分のペースでのびのびと仕事に打ち込めていましたよ。それに、うまくいけば、すべて自分の成果なのでやりがいも大きかったですね。もちろん、今のようにたくさんのスタッフと一緒に仕事をするのも、良いことはいっぱいありますよ。人が多い分より多くの案件を受けられますし、自分一人の頭じゃ思いつかないアイデアが生まれますし、何より、困ったときにはみんなが助けてくれますからね。
北島:私は設計やデザインを考えることが苦手で、いつも先生から辛口のコメントをもらっています。どうすれば、良いものを生み出せるようになりますか?
大下:たとえば、店舗デザインの案件なら、他店との差別化を考えながら何度も通いたくなる空間をつくることが大切。若いスタッフは自分がカッコいいと思うものをつくりがちですが、それではダメ。お客様を第一に考えたものをつくるように指導しています。学校の課題でも、どのような人に向けた建物なのかを考え抜くことが、腕をあげる近道になると思います。
北島:明日から早速、「誰のための建物なのか」をしっかりと考えて、図面と向き合いたいと思います。
大下:良いものをいっぱいつくってくださいね! 私も負けませんよ!
一同:(笑)。
三好:ご自身で会社をつくって、バリバリ活躍されている大下さんのお話を聴くと、同じ女性としてすごく刺激になります。
山本:私は将来、造園施工管理技士になりたいと思っています。やる気なら誰にも負けませんが、建設業界は男性社会というイメージがあるので、やはり不安はあります。大下さんがこの業界で働く中で、女性だからという理由で、苦労したことはありますか?
大下:う~ん…あまり思いつきません(笑)。私が働いてきた職場がたまたまそうだっただけなのかもしれませんが、女性だからといってデメリットを感じたことはありませんね。むしろ、性別の違いがメリットになることも。私がこの業界に進んだ当時は、今と比べまだまだ女性が少なかったため、男性よりも目立つことができ、珍しがられて仕事をいただいたこともありましたよ。でも、プロの世界では結局のところ、積極的にがんばる人が求められるので、やはり性別は関係ないですね。当然と言えば当然のことですが。
三好:私もそうだと信じています。確かに、土木系学科は女子が少ないですが、まわりの男子学生に負けている気はしません。
大下:そうです。「やってやるぞ!」というやる気が一番大切。それに勝るものはないですね。女性だからって消極的にならずに果敢にチャレンジしてください。
山本:建設現場で働くことへの勇気が湧きました。卒業したら私も思いっきりがんばって良い庭や公園をいっぱいつくりたいです!
大下:やりたいことをやりましょう。自分がやりたいと思う仕事に就けば、毎日がすごく楽しいですし、きっと良い結果をいっぱい出せますからね!