時代も環境もどんどん変えられる。大切にしたい「自分らしさ」。
「男性社会」のイメージが強い建設業界に近年女性が増えており、建設業界で働く女性に「けんせつ小町」という愛称がつけられていることをご存知だろうか。修成でも女子学生の割合が年々高まり、それぞれが目標に向かって学んでいる。「けんせつ小町」という呼称ができるよりずっと前から実際に独立して活躍している先輩を迎え、ものづくりや働く環境、描いているビジョンなどを語ってもらった。
- 【けんせつ小町とは?】
- 建設業界の多様な職種で女性が活躍していることを業界内外に広く知ってもらいたいと日本建設業連合会が選定した女性技術者・技能者の愛称。
人の役に立つ仕事がしたい。
見たり、つくったりを経験した子ども時代。
実際に感じるものづくりの世界の楽しさとは。
阪井:今日は建設業界で活躍されている先輩とお話しできるのを楽しみにしてきました。大下さんは修成では何を学ばれていたんですか?
大下:当時の女子建築設計科という学科で、製図やインテリアの勉強をしていました。パソコンの授業なんてまだない時代ですよ。その後何社か勤めて29歳で独立し、10年たったところです。この春、修成の専科2級建築士科の卒業生が入社してきます。
三好:卒業生がいらっしゃる会社に就職したら安心できそうですね。大下さんはもともとものづくりが好きだったんですか?
大下:そうですね、親戚に建築関係の仕事をしている人がいて、幼い頃から興味はありました。小学生ぐらいの頃から建築系の仕事に就きたいと考えていたので、高校を卒業して修成に入りました。
阪井:小学生の頃からですか! では幼い頃からの夢を叶えられたわけですね。私は父が造園の仕事をしているのですが、造園に携わりたいと思った直接のきっかけは、中学時代に英語の教科書で樹木医という職業を知って、素敵な仕事だなと思ったことです。その後、高校時代に造園の授業で花や木を植えたり果樹を育てたりすることにも魅力を感じ、外構の仕事をめざして修成に入りました。
沖田:私も興味をもった時期は、大下さんと同じく小学生のときです。母と祖父が、ものづくりが好きなんです。私が小学校に入学する時に、自分の部屋に母と祖父と一緒に自分の勉強机をつくったのが初めてのものづくりでした。それからは、大きなものではないのですがメッセージカードや小物をつくって友達にサプライズをしたりしていました。あとはテレビの「大改造!!劇的ビフォーアフター」に影響を受け、住宅の建築をしたいと考えたんです。
大下:自分の勉強机をつくるなんて、とても素敵な経験ですね。三好さんは、なぜ土木を選んだのですか?
三好:高校卒業後に進学するつもりで進路を探していたとき、ものづくりの仕事がしたいと考えて土木という分野を見つけました。東京オリンピック・パラリンピックも話題になっていたし、都市計画にも興味があったのでやってみたいなと。
阪井:ものづくりでも、いきなり土木っていうのがすごいね。
三好:そうですか? でも「人と違うことがしたい」という考えはあったかもしれないですね。
大下:土木でほかに女性はいるんですか?
三好:いません。エンジニア学科と一緒に授業をするんですが、50人ぐらいの中で私1人です。でも女子が多い少ないよりも自分のしたいことを優先しようと思って選びました。
大下:その気持ちはとても大事ですね。みなさん、ちゃんと自分の考えがあって感心します。
阪井:大下さんはどんな学生時代だったんですか?
大下:2年間、欠席ゼロの皆勤で卒業しました。高校時代は全然勉強していませんでしたが(笑)、建築の仕事に就きたいという気持ちは変わらなかったので、専門学校の2年は頑張ろうと決めて。みなさんはどんな勉強が楽しいですか?
阪井:皆勤賞! 熱心に学ばれたんですね。私はガーデンデザイン学科で、先生から「植物は植えた所からがスタート。その後どう育てていくかは、腕しだい」とアドバイスされたことがとても印象に残っています。先日研修でユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったのですが、新しいアトラクションに植わっている木はまだ小さいんです。みんなで「こういうふうに育つんやろうな」と言いながらパーク内を見てまわって、とても勉強になりました。
大下:学外に出ても学んでいることに興味が向くのはいいことですね。造園は手入れが必要だから、お付き合いの長い仕事になりますね。三好さんは測量などをしているんですか? 私も学生時代に経験しましたが、難しいですよね。
三好:はい、実習で学校周辺の測量をしました。すべての基礎になる数字なので、間違えたら大変です。難しくて何度もやり直しましたが、どんな大きな建物もここから始まるのだなと思うとわくわくします。沖田さんはどんな授業が楽しい?
沖田:楽しいのは製図の授業です。たとえば、今まで何気なく見て楽しんでいた住宅のチラシにある間取り図で、線の太さ一つにも意味があるのだと知りました。知識を身につけて理解していくととても深いと感じ、わかることが増えていくのが楽しいです。