山本:私も将来、自分が施工に携わった庭や公園とは、メンテナンスなどを通じながらずっと責任を持って関わっていきたいと思っています。
大下:自分が手がけた建物と責任を持ってずっと向き合っていくことは、ものづくりのプロとして大切なことだと思います。そして、そうする中でお客様と苦楽をともにしながら、その建物や空間を良いものにしていければうれしいですね。
北島:設計やデザインだけじゃなくロゴマークやホームページなどにも関わり、お店をトータルにコーディネートして、オープン後も関わり続けていけるなんて、目からうろこです。私も将来は、ただ設計やデザインに携わるだけじゃなくて、ずっとお客様と関わり合っていけるようなスタンスで建築と向き合っていきたいと思いました。
山本:私が目指している造園施工管理技士は、庭や緑地が完成した後もずっと植物を健康に美しく保つために、お客様と関わり合っていく仕事です。今回、大下さんのお話しを聴いて、ただお客様と長く付き合うのではなく、寄り添いながら一緒に歩んでいくことが大切なんだと改めて思いました。
大下:そのようなコメントをもらうと本当にうれしいですね! どんな職種でも、お客様のことを第一に考えて仕事をすることは大切。その想いがきっと深ければ深いほど、良い仕事ができると思います。これからこの世界でがんばるなら、そのことを肝に命じて欲しいです。
[女子建築設計科(現:建築CGデザイン学科)1994年卒業] 修成卒業後、設計職で数社に勤務し2004年に独立。現在は経営者としての仕事はもちろん、自らもデザイン・設計・監理を行う。建築物のデザイン・設計にとどまらず、グラフィックデザインなど幅広い仕事を手がける。
細かい場所にも目を配ることは、
良いものをつくるための必須条件。
大下:ここは元々焼肉店でしたがオーナーさんがバーにリノベーションされるとのことで、店舗デザインのお話しをいただきました。
山本:なんだかすごく大人な空間ですね(笑)。
大下:50代から60代のお客様をメインターゲットにしていることから、昭和テイストに仕上げました。赤色を基調にしたデザインが、なかなかムーディーでしょ(笑)。カーテンやタイルにも赤系のものを採用しています。
三好:お店の中で、最初に目に入ったのがミラーボールです。すごく大きくてインパクトがありますね!
大下:お! はじめに目に入りましたか! うれしいですね~。実はこのミラーボールが、お店の店舗デザインについて語る上で欠かせない大事なポイントなんです。オーナーさんから依頼を受けた際に、他では見られないこの店のシンボルとなるものを置きたいと考えました。そこで、昭和テイストな空間をさらに引き立てつつ、来店された方に驚いてもらえるように、巨大ミラーボールをつくりました。実はこれ、私たちの手作りなんですよ。これだけ大きいものは既製品にはありませんからね。
山本:手作りですか! すごい! ミラーは何枚ありますか?
大下:約1630枚ありますよ。設計図からつくって、骨組みに使われているバーは業者さんに曲げてもらって組み立てていきました。ミラーは両面テープで接着しています。
三好:1630枚なんて、気が遠くなるような作業ですね。
大下:スタッフみんなでペタペタするのは地味な作業ではありましたが、楽しかったですよ。製図から納品、設置まで15日間で仕上げました。私は基本的にあまり自分の好みを設計やデザインに取り入れることはありませんが、「鉄」が大好きなので、骨組みなどで鉄をたくさん使っているこのミラーボールが完成したときはうれしかったですね。