作品コンセプトと
指導教員からの講評を読む
卒業設計の目的を考えるうちに持続可能な社会に関わることをテーマにしたいと思いました。場所を探すうちに、離島問題と合わせそれらを解決する場として岡山県の北木島に辿り着きました。
そこには不自然な形の127泓(おう)の丁場湖があり、負の歴史や特徴にサスティナブルな社会に生きる私達へのメッセージがあると思いました。歴史や魅力を伝えられるか、過疎という問題を抱え共に生きることができるのか。極力「丁場湖を傷つけず活かす(生かす)活用のカタチ」を考えました。
ご覧いただき、私たちが普段出逢うことの出来ない丁場湖に立ち止まってふれてみませんか?
<指導教員からの講評>
社会的なテーマから入るか、魅力的な場所を探すのか。そんな思考から卒業設計に向き合い、彼女は膨大なリサーチと検討やスタディを経て見事にまとめ上げてくれました。場所は岡山県民でもあまり知られていない瀬戸内の孤島「北木島」です。高度成長期に採石場として活況を呈しながら時代の波にのまれ、人々が去った忘却の離島には127か所の採石場が残り、雨水がたまって丁場湖と呼ばれています。それはまるで島の隆盛にもてあそばれ流した島民の涙が溜まったかのように深淵に透き通るように緑青をまとっています。最後まで見ていただければ持続可能な島社会のために「学び」「住居」「観光」という3つの必要不可欠な要素を考え、これ以上丁場湖を傷めず寄り添うような建築におきかえて提案した制作者の一年余りの想いを感じていただけるのではないかと期待しています。
<眞野 サトル>